黒ナンバーの車は普段使いできる?私用で乗るときの決まりと、黄ナンバーとの違い

黒ナンバーでも私用に乗れる。黄ナンバーとの違いは有償の運送 黒ナンバー基礎

黒ナンバーの車は、配送の仕事だけでなく、家族の買い物や送り迎えなどの私用にも使えます。

ただし、私用で使うときに気をつける点が4つあります。任意保険、乗車定員と最大積載量、車体への使用者名の表示、車庫です。

※この記事が対象にしているのは、用途が貨物の軽バンを黒ナンバーにする場合です。緑ナンバーのトラックで始める場合や、軽乗用車を黒ナンバーにする場合、126cc以上のバイクで始める場合は対象外です。


黒ナンバーの車を普段使いしてよい理由

黒ナンバーの車は配送の事業のために届け出た車ですが、私用に使うこともできます。黒ナンバーの根拠となる貨物自動車運送事業法と同法施行規則(法律を運用するための細かい決まり)が、事業に使う車を私用で使うことを禁止していないためです。

黒ナンバーは、貨物軽自動車運送事業の届出をした事業者が、配送などの事業に使う車に取り付けるナンバープレートです。貨物自動車運送事業法は、この事業を次のように定義しています。

この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。

定義の中に、事業に使う車の使い道を制限する文言はありません。

貨物自動車運送事業法が届出を求めるのは、事業を始めようとするとき、届け出た内容を変えようとするとき(第36条1項)、事業をやめたとき(同条3項)などです。私用で使うことを理由にした届出は、同法では求められていません。やめるときの手続きは、「配送をやめて黄ナンバーに戻すときの手続き」で説明します。

なお、2025年4月からは、事業者が守る安全対策として、貨物軽自動車安全管理者の選任や業務の記録などが義務になりました。安全管理者を選任したときも届け出ます(第36条の2第2項)。2025年3月までに経営届出をした事業者の選任の期限は、2027年3月です。安全管理者と業務の記録について詳しくは、黒ナンバー開業で義務化された安全管理をご覧ください。


私用中の事故が任意保険で補償されるか

私用で使っている間の事故が補償されるかどうかは、加入している任意保険の契約によって決まります。法律上は私用に使えることと、私用中の事故に保険金が支払われるかどうかは、別の問題です。

黒ナンバーの軽は、任意保険では「営業用」の車として扱われます。黄ナンバーの契約から切り替える手順と保険料の目安は、黒ナンバーの任意保険の切り替え手順と保険料の目安で紹介しています。

三井ダイレクト損保は、年間を通じて週5日以上または月15日以上、何に使うかで使用目的を区分しています。そのうえで、選んだ使用目的と異なる目的で使っていたときの事故も補償の対象になると説明しています。例として案内しているのは、「業務使用」を選んだ車でプライベートの買い物中に事故にあった場合です。

ただし同社は、ふだんの使い方が変わって区分も変わる場合には、契約内容の変更手続きを求めています。選んだ使用目的が事実と異なると保険金が支払われない場合があることも、同社は案内しています(2026年9月時点)。

営業用の契約でも同じように私用中の事故が補償されるかは、保険会社の公式サイトだけでは判断できない場合があります。契約前に保険会社へ直接確認しましょう。

家族や友人が運転するときは運転者の範囲を確認

家族や友人が黒ナンバーの車を運転する前に、この車の任意保険の契約で、その人が運転者の範囲に入っているか、年齢の条件に合うかを見ておきましょう。運転する人が自分で入っている保険では、補償されないことがあるためです。

借りた車での事故は、運転した人の保険の他車運転特約で補償される場合があります。ただし損保ジャパンの案内では、会社の車を借りて運転したとき、その車が自家用8車種以外か、業務のために使っている場合は補償されません(2026年9月時点)。

黒ナンバーの軽は営業用なので、自家用8車種に入りません。損保ジャパンの説明に当てはめると、家族や友人が自分の保険の他車運転特約で補償を受けることはできません。

自家用8車種は、保険会社が用途と車種で決めている区分のうち、次の8つです(SBI損保の用語集)。乗用車は、自家用の普通乗用車・小型乗用車・軽四輪乗用車の3つです。貨物車は、自家用の小型貨物車・軽四輪貨物車と、自家用の普通貨物車の2つ(最大積載量0.5トン以下と、0.5トン超2トン以下)を合わせた4つです。残る1つが、特種用途自動車(キャンピング車)です。

契約前に保険会社へ聞くこと

任意保険の契約の前に、加入中か見積もり中の保険会社か代理店へ、次の3つを聞いておきましょう。

聞くこと なぜ聞くか
私用で使っている間の事故も、この契約で補償されるか 営業用の契約で私用中の事故がどう扱われるかは、契約ごとに確認が必要なため
家族が運転したときの事故も、この契約で補償されるか 家族の保険の他車運転特約は黒ナンバーの車では使えないことがあり、補償されるかはこの契約の運転者の範囲で決まるため
友人が運転したときの事故も、この契約で補償されるか 友人の保険の他車運転特約も同じく使えないことがあり、友人がこの契約の運転者の範囲に入るかで決まるため

乗車定員と最大積載量の上限は車検証で確認

仕事で使うときも私用で使うときも、乗せる人数は車検証の乗車定員まで、載せる荷物は最大積載量までです。乗車定員には、運転する人も含まれます。

道路交通法は、政令で定める乗車人員と積載物の重量の制限を超えて運転することを禁止しています(第57条1項)。その制限が、車検証に記録された乗車定員と最大積載量です(道路交通法施行令 第22条1号・2号。施行令の語では最大積載重量)。警察署長の許可を受けた場合などの例外はありますが、ふだんの運転では車検証の値が上限です。

車検証のうち、乗車定員と最大積載量の欄がどこにあるかを示した見本。乗車定員は運転する人を含めた乗れる人数、最大積載量は積める荷物の重さの上限の欄。記事で見る欄だけを抜き出して当社が作ったもので、様式そのものではなく、値はすべて架空

この見本は、記事で見る欄だけを抜き出して当社が作ったものです。様式そのものではなく、値はすべて架空です。

家族や友人を乗せてもよいか

家族や友人を無料で乗せるのは、私用にあたります。その場合も、乗せられるのは乗車定員までです。

一方、料金を受け取って人を運ぶことを事業として行うと、一般旅客自動車運送事業にあたります。この事業を行うには、荷物を運ぶ黒ナンバーの届出とは別に、国土交通大臣の許可を受けなければなりません(道路運送法 第4条1項)。許可を受けずに経営した場合の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方です(同法 第96条1号)。


黒ナンバーの車体には使用者名の表示が必要

黒ナンバーの車は、車体の外側に使用者の氏名、名称又は記号を見やすく表示しなければなりません(道路運送法 第95条)。私用で走るときも、車体の使用者名は表示されたままです。

黄ナンバーの軽バンは、自家用の軽自動車として表示の対象から除かれています。黒ナンバーの軽は同法の事業用自動車にあたるため、除かれません。

同法施行規則 第65条には、使用者の氏名、名称又は記号に「貸切」「限定」「特定」「通運」「航空」「海上」「運行」などを書き加える区分もあります。対象は、旅客を運ぶ事業や、許可を受けて行う貨物の運送、鉄道・航空・船舶と組んだ集配などに使う車です。黒ナンバーの軽で配送をする場合は、書き加えずに使用者の氏名、名称又は記号を表示します。

表示をしなかったり、虚偽の表示をしたりすると、50万円以下の過料の対象になります(道路運送法 第105条1号)。

黒ナンバーが怪しいと言われる理由

配送業界の解説記事によると、黒ナンバーの車が怪しいと言われる理由の一つは、外から見て何をしている車か分かりにくいことです。ドライバーの多くは個人事業主で、大手の運送会社のような制服を着ていないことが多いためです。ほかにも、車体に名前の記載がない車が増えたことや、配達の時間に追われた運転の仕方、違法な駐車も理由とされています。

ただ、こうした周りからの見られ方は、黒ナンバーの車を私用に使ってよいかどうかを左右するものではありません。

なお、車体に表示しなければならないのは使用者の氏名、名称又は記号で、会社のロゴや車体の広告までは求められていません。「名前の記載がない」車が、この表示をしていない車を指すとは限りません。


黒ナンバーの軽自動車に車庫証明は必要か

黒ナンバーで配送に使っている軽自動車は、警察への「保管場所の届出」の対象から外れます。この届出は、軽自動車で車庫証明にあたる手続きです。

保管場所法 第13条1項により、自動車運送事業に使う自動車には、軽自動車の保管場所の届出を定めた第5条などが適用されません。保管場所の確保は、貨物自動車運送事業法などに従います。黒ナンバーの軽で行う貨物軽自動車運送事業も、この自動車運送事業に含まれます。

車庫は、運輸支局への届出で求められる基準を満たす必要があります。その基準は、営業所に併設するのが原則で、離す場合は2キロメートル以内、使う車を全部収容できる広さであることです。書類の書き方は、運輸支局に出す書類一式と記入例で詳しく説明しています。

配送をやめて黄ナンバーに戻し、その車を使い続ける場合は、地域によっては警察への届出をすることになります。詳しくは「配送をやめて黄ナンバーに戻すときの手続き」で説明します。


黒ナンバーと黄ナンバーの違い

黒ナンバーと黄ナンバーで最も大きく異なるのは、他人の荷物を有償で運べるかどうかです。黄ナンバーのような自家用の車は、決まった例外を除き、有償の運送に使うことが禁止されています(道路運送法 第78条)。関東運輸局も、貨物軽自動車運送事業を行うには、事業用の黒いナンバーに変える必要があると案内しています。

なお、緑ナンバーは普通車などの事業用のナンバーです。軽自動車で黒ナンバーと対になるのは、軽の自家用の黄ナンバーです。ナンバーの色と区分の一覧は、「黒ナンバーとは」の記事で紹介しています。

そのほかに異なる点は、次の表のとおりです。

項目 黒ナンバー 黄ナンバー 詳しく書いた所
運べる荷物 他人の荷物を有償で運べる 有償では運べない この節の最初の段落
車体の表示 使用者の氏名、名称又は記号の表示が必要 不要 この記事の「黒ナンバーの車体には使用者名の表示が必要」
任意保険の区分 営業用 自家用 この記事の「私用中の事故が任意保険で補償されるか」
高速料金 軽自動車等 軽自動車等 この記事の「黒ナンバーの高速料金と割引」
軽自動車税と重量税 黄ナンバーより安い 黒ナンバーより高い 軽貨物の車検と税金

黒ナンバーの高速料金と割引

高速道路の料金は黒ナンバーも黄ナンバーも同じで、異なるのは割引を受けられる条件です。

料金の車種区分では、黄地に黒文字のナンバーも、黒地に黄文字のナンバーも「軽自動車等」に入ります(NEXCO西日本、2026年10月時点)。

一方、高速国道の大口・多頻度割引のうち、車1台ごとの車両単位割引は、1か月の高速国道の利用額に応じて割引率が3段階に分かれています。ETC2.0を使う事業用車両は、どの段階でも割引率が10ポイント上がります。5千円を超え1万円までの部分は10%から20%に、1万円を超え3万円までの部分は20%から30%に、3万円を超える部分は30%から40%になります。この上乗せは、令和9年(2027年)3月末までです。

割引を受けられるのは、ETCコーポレートカードの利用の承認を受けた契約者です。このカードは、高速道路の3社が決めた要件を満たす利用者に貸し出されます。対象の事業用車両は、車検証か軽自動車届出済証で事業用と区別され、ETC2.0を積んでいる車です。なお、大口・多頻度割引は高速国道の分と一般有料道路の分を別々に計算し、上の率は高速国道の分です。


リースの車を私用にも使えるか

法律上は私用にも使えますが、リースの車では、私用が認められているかをリース契約で確認しておきましょう。

契約前に確認する項目は、「軽バンリースの契約前に確かめる総額と途中解約」の表に並べています。この表は月額の相場と、料金に含まれるものの記事にあり、②の行で、黒ナンバーにして配送に使ってよい契約か、私用にも使ってよいかを確認できます。

GOKUリースの車は、黒ナンバーで配送の仕事に使っている場合に限り、私用にも使えます。


配送をやめて黄ナンバーに戻すときの手続き

配送の仕事をやめて私用だけで使う場合は、事業の廃止を届け出て、黄ナンバーに戻します。手続きは次の3つです。

1つ目は、運輸支局へ事業の廃止を届け出ることです(貨物自動車運送事業法 第36条3項)。条文に日数の期限はなく、事業をやめた後「遅滞なく」届け出ることになっています。

2つ目は、軽自動車検査協会で車検証の記録を変えることです(道路運送車両法 第74条の4)。車検証には「自家用又は事業用の別」が記録されていて(同法施行規則 第35条の3)、黄ナンバーに戻すとこの記録が変わります。変更記録は、車検証の記録の内容に変更があった日から15日以内に受けなければなりません(道路運送車両法 第67条1項)。車検が切れている車は、この変更記録を、その車を使おうとする時まで延ばせます(同項ただし書)。

3つ目は警察への届出で、運送事業用自動車(事業に使う車)でなくなった車を使い続ける場合に出します。期限は運送事業用自動車でなくなった日から15日以内で、保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出ます(保管場所法 第13条3項)。届け出なかったり、虚偽の届出をしたりすると、10万円以下の罰金です(同法 第17条3項1号)。

ただし、警察への届出をするのは、使用の本拠の位置(車を使う拠点)が政令で定める地域にある場合だけです(同法 附則第2項)。軽自動車では、東京23区と、保管場所法施行令の一覧に名前のある市が対象で、町や村は入りません(同令 附則第2項2号)。市の区域は2000年(平成12年)6月1日時点のもので、その後の合併で市に入った旧町村の区域は対象外です。自分の地域が当たるか分からないときは、保管場所を管轄する警察署に問い合わせましょう。

なお、私用に使う割合について、貨物自動車運送事業法は上限を設けていません。2台以上で事業を続けながら1台だけを黄ナンバーに戻す場合は、廃止の届出は出しません。代わりに、届け出た事業用自動車の数を変える届出を運輸支局に出します(貨物自動車運送事業法 第36条1項、同法施行規則 第33条)。その1台にも、2つ目の車検証の記録の変更と、地域によっては3つ目の警察への届出が当てはまります。

リースの車を黄ナンバーに戻せるかどうかも、「リースの車を私用にも使えるか」と同じく、リース契約の内容によります。


まとめ

黒ナンバーの車でも、家族の買い物や送り迎えに使うことができます。私用で使うときに気をつける点は、任意保険の補償、乗車定員と最大積載量、車体の使用者名の表示、車庫の4つです。リースの車なら、私用に使えるかをリース契約でも確認しましょう。

今日やることは、「契約前に保険会社へ聞くこと」の表にある3つの質問を、加入中か見積もり中の保険会社か代理店に送ることです。表の「聞くこと」の列は、そのまま問い合わせの文に使えます。返事が届いた日に、私用中の事故と、家族や友人が運転したときの事故が補償されるかが分かります。


出典


著者

中村 篤彦(なかむら あつひこ)/株式会社極 代表取締役/GOKUリース運営


この記事は役に立ちましたか?