【2026年版】黒ナンバー開業で義務化された安全管理 ― 選任・講習・業務/事故記録のすべて

黒ナンバー基礎

黒ナンバーでの軽貨物開業は、運輸支局への「届出」で始められます。ただ、届出を出して営業ナンバーを付ければ終わり、というわけではなくなりました。2025年(令和7年)4月1日から、貨物軽自動車運送事業者に「安全管理」に関するルールが加わっています。

安全管理者を選ぶ・講習を受ける・日々の記録を残す。これから始める人も、すでに開業している人も、対象です。ここでは、2026年時点で何を・いつまでに・どうやるのかを、軽バンのリースを扱う立場からひととおり整理します。


2025年4月から義務化された安全管理の3つ


黒ナンバー事業者に義務づけられた「安全管理」の全体像

まず前提として、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業の営業ナンバー)の取得そのものは、これまで通り運輸支局への届出で完了します。信販審査もなく、要件が揃えば個人でも取れます。定義や取り方の基本は別記事にまとめています。

そのうえで、2025年4月から「取ったあと・事業を続けている間」の安全管理が加わりました。バイク便を除くすべての貨物軽自動車運送事業者が対象で、内容は次の3つです。

やること 中身
①安全管理者の選任 営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選ぶ。個人事業主は自分自身を選任し、国土交通大臣へ届け出る
②講習の受講 選任される人は、所定の「貨物軽自動車安全管理者講習」を受講する
③記録の作成・保存 日々の業務記録を作成・保存する。事故が起きた場合は事故記録も作成・保存する

出典:独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)「貨物軽自動車安全管理者講習」国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」 (いずれも2026年7月確認)。

車1台の個人事業主でも対象になります。規模の大小に関わらず、黒ナンバーで有償運送をするなら等しく適用される、という点が大切です。


選任の期限は立場で違う。記録は初日から

間違えやすいのが期限です。安全管理者の選任は立場によって時期が違い、記録はどちらも猶予がありません。

あなたの立場 安全管理者の選任・講習 業務記録・事故記録
これから開業する人
(2025年4月以降に新規届出)
事業を始めるまでに選任し届出(届出時点で選任が必要)。講習は選任日の前2年以内に修了しておく 猶予なし。営業初日から作成・保存
業務記録=1年保存
事故記録=3年保存
すでに開業している既存事業者
(2025年3月末までに届出済)
2027年(令和9年)3月31日までに選任・講習を済ませる(猶予期間あり)

出典:NASVA「貨物軽自動車安全管理者講習」(既存事業者の猶予=令和9年3月31日まで)/国土交通省 貨物軽自動車運送事業の安全対策関連資料(2026年7月確認)。特定運転者への特別指導・適性診断については、既存事業者に2028年(令和10年)3月末までの猶予が置かれています。


安全管理者講習は5時間・3,700円(NASVA実施)

現場で相談を受けていると、「黒ナンバーは届出だけで乗れる」と思っていて、講習が必要と知って驚かれる方は多いのが実感です。段取りに入れておくと慌てずに済みます。講習の中身は次の通りです。

項目 内容
名称 貨物軽自動車安全管理者講習
講習時間 5時間
受講料 3,700円
実施団体 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)
受講のタイミング 選任日の前2年以内に修了していること

出典:NASVA「貨物軽自動車安全管理者講習」 (2026年7月確認)。開催日程・会場・申込方法は同機構のサイトで確認してください。

安全管理者を選んで届け出ることと、その人が講習を受けることは、別の手続きです。どちらも済ませて初めて要件を満たします。個人事業主の場合は、選ばれるのも講習を受けるのも本人です。


業務記録・事故記録には何を書くか

3つの中で、開業初日から避けて通れないのが記録です。選任や講習には立場によって猶予がありますが、記録の作成・保存には猶予がありません。

業務記録(1年保存)

日々の運行について記録し、1年間保存します。書く内容は、その日の業務の開始・終了の地点や、従事した距離など、運行の実態が分かるものです。国土交通省が様式の例を公開しているので、それを参考に整えるのがおすすめです。

事故記録(3年保存)

事故が起きたときに作成し、3年間保存します。事故の概要、原因、そして再発防止のために取った対応などを残します。事故がなければ作る場面はありませんが、起きたときに「記録がない」では済まないため、様式だけは先に把握しておくと安心です。

出典:国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」 (2026年7月確認)。業務記録・事故記録の様式例は同ページからたどれます。保存期間は業務記録1年・事故記録3年。

紙でもデータでも構いませんが、毎日のことなので、続けられる形を最初に決めておくのが実務上のコツです。


2026年に合わせて確認したい、お金まわりの話

安全管理そのものとは別に、2026年は燃料と税の周辺で、経費に効く変更が重なっています。黒ナンバーの義務ではありませんが、開業のタイミングで一度確認しておくと計算がずれません。

出典:軽油引取税の税率変更=東京都主税局ほか各都道府県の告知(令和8年4月1日)/インボイス2割特例=国税庁「令和8年度税制改正 インボイス関連」 (2026年7月確認)。

燃料費や維持費を含めた開業費用の全体像は、黒ナンバー開業の費用の記事で別途まとめています。税・申告の詳細は、金額が動く前に税務署や公式情報で確認してください。


開業までの流れに、安全管理を組み込む

最後に、これから始める人向けに、届出から運行開始までの流れに安全管理を並べておきます。順番を知っておくと、手戻りが減ります。

順番 やること
1 使う軽バン(車検証の用途が「貨物」の車)を用意する
2 運輸支局へ「貨物軽自動車運送事業経営届出書」などを提出。このとき安全管理者の選任も必要
3 選任する人(個人事業主なら自分)が、安全管理者講習を受講しておく
4 軽自動車検査協会で黒ナンバーの交付を受ける
5 任意保険を事業用に切り替える(手続きと保険料
6 運行開始。初日から業務記録を作成・保存する

車両の準備(2の前段)と講習の受講(3)は、届出より前から動けます。車探し・書類・講習を並行で進めておくと、開業までがいちばん短くなります。車をこれから用意する人は、黒ナンバー登録の代行を車両側でセットにできるかも、あわせて確認しておくと二度手間になりません。


著者

中村 篤彦(なかむら あつひこ)
株式会社極 代表取締役/GOKUリース運営


車の用意から相談したい方へ

黒ナンバー開業で、車をどう用意するか迷っている方は、軽バンの自社リースという選択肢もあります。費用・プラン・対応エリアはサービスページに載せています。

最終更新日:2026年7月

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