黒ナンバーでの軽貨物開業は、運輸支局への「届出」で始められます。ただ、届出を出して営業ナンバーを付ければ終わり、というわけではなくなりました。2025年(令和7年)4月1日から、貨物軽自動車運送事業者に「安全管理」に関するルールが加わっています。
安全管理者を選ぶ・講習を受ける・日々の記録を残す。これから始める人も、すでに開業している人も、対象です。ここでは、2026年時点で何を・いつまでに・どうやるのかを、軽バンのリースを扱う立場からひととおり整理します。
2025年4月から義務化された安全管理の3つ
- 黒ナンバーの事業者には①安全管理者の選任 ②講習の受講 ③業務記録・事故記録の作成保存の3つが義務づけられています。
- これから開業する人は、事業を始めるまでに安全管理者を選任します(猶予はありません)。すでに届出済みの既存事業者は、2027年(令和9年)3月31日までに選任・講習を済ませます。
- 業務記録・事故記録の作成は猶予なし=営業初日から必要です。業務記録は1年、事故記録は3年の保存が求められます。
- 2026年に黒ナンバー個人へ新しく増えた義務は、確認した範囲では見当たりません。いま効いているのは上記の2025年4月ルールで、それが全面的に稼働している状態です。
黒ナンバー事業者に義務づけられた「安全管理」の全体像
まず前提として、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業の営業ナンバー)の取得そのものは、これまで通り運輸支局への届出で完了します。信販審査もなく、要件が揃えば個人でも取れます。定義や取り方の基本は別記事にまとめています。
そのうえで、2025年4月から「取ったあと・事業を続けている間」の安全管理が加わりました。バイク便を除くすべての貨物軽自動車運送事業者が対象で、内容は次の3つです。
| やること | 中身 |
|---|---|
| ①安全管理者の選任 | 営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選ぶ。個人事業主は自分自身を選任し、国土交通大臣へ届け出る |
| ②講習の受講 | 選任される人は、所定の「貨物軽自動車安全管理者講習」を受講する |
| ③記録の作成・保存 | 日々の業務記録を作成・保存する。事故が起きた場合は事故記録も作成・保存する |
出典:独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)「貨物軽自動車安全管理者講習」 / 国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」 (いずれも2026年7月確認)。
車1台の個人事業主でも対象になります。規模の大小に関わらず、黒ナンバーで有償運送をするなら等しく適用される、という点が大切です。
選任の期限は立場で違う。記録は初日から
間違えやすいのが期限です。安全管理者の選任は立場によって時期が違い、記録はどちらも猶予がありません。

| あなたの立場 | 安全管理者の選任・講習 | 業務記録・事故記録 |
|---|---|---|
| これから開業する人 (2025年4月以降に新規届出) |
事業を始めるまでに選任し届出(届出時点で選任が必要)。講習は選任日の前2年以内に修了しておく | 猶予なし。営業初日から作成・保存 業務記録=1年保存 事故記録=3年保存 |
| すでに開業している既存事業者 (2025年3月末までに届出済) |
2027年(令和9年)3月31日までに選任・講習を済ませる(猶予期間あり) |
出典:NASVA「貨物軽自動車安全管理者講習」(既存事業者の猶予=令和9年3月31日まで)/国土交通省 貨物軽自動車運送事業の安全対策関連資料(2026年7月確認)。特定運転者への特別指導・適性診断については、既存事業者に2028年(令和10年)3月末までの猶予が置かれています。
安全管理者講習は5時間・3,700円(NASVA実施)
現場で相談を受けていると、「黒ナンバーは届出だけで乗れる」と思っていて、講習が必要と知って驚かれる方は多いのが実感です。段取りに入れておくと慌てずに済みます。講習の中身は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 貨物軽自動車安全管理者講習 |
| 講習時間 | 5時間 |
| 受講料 | 3,700円 |
| 実施団体 | 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA) |
| 受講のタイミング | 選任日の前2年以内に修了していること |
出典:NASVA「貨物軽自動車安全管理者講習」 (2026年7月確認)。開催日程・会場・申込方法は同機構のサイトで確認してください。
安全管理者を選んで届け出ることと、その人が講習を受けることは、別の手続きです。どちらも済ませて初めて要件を満たします。個人事業主の場合は、選ばれるのも講習を受けるのも本人です。
業務記録・事故記録には何を書くか
3つの中で、開業初日から避けて通れないのが記録です。選任や講習には立場によって猶予がありますが、記録の作成・保存には猶予がありません。
業務記録(1年保存)
日々の運行について記録し、1年間保存します。書く内容は、その日の業務の開始・終了の地点や、従事した距離など、運行の実態が分かるものです。国土交通省が様式の例を公開しているので、それを参考に整えるのがおすすめです。
事故記録(3年保存)
事故が起きたときに作成し、3年間保存します。事故の概要、原因、そして再発防止のために取った対応などを残します。事故がなければ作る場面はありませんが、起きたときに「記録がない」では済まないため、様式だけは先に把握しておくと安心です。
出典:国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」 (2026年7月確認)。業務記録・事故記録の様式例は同ページからたどれます。保存期間は業務記録1年・事故記録3年。
紙でもデータでも構いませんが、毎日のことなので、続けられる形を最初に決めておくのが実務上のコツです。
2026年に合わせて確認したい、お金まわりの話
安全管理そのものとは別に、2026年は燃料と税の周辺で、経費に効く変更が重なっています。黒ナンバーの義務ではありませんが、開業のタイミングで一度確認しておくと計算がずれません。
- 軽油の暫定税率が2026年4月1日に廃止されました(約17.1円/L引き下げ)。ガソリンは2025年12月末に本則へ戻っています。ディーゼルの軽バンを使う場合は燃料費に直接効きます。
- インボイスの「2割特例」は、個人事業主だと2026年分(2027年3月申告分)が最後の適用になります。免税から課税を選んだ人は、2027年以降の納税額が変わる前提で見ておく必要があります。
出典:軽油引取税の税率変更=東京都主税局ほか各都道府県の告知(令和8年4月1日)/インボイス2割特例=国税庁「令和8年度税制改正 インボイス関連」 (2026年7月確認)。
燃料費や維持費を含めた開業費用の全体像は、黒ナンバー開業の費用の記事で別途まとめています。税・申告の詳細は、金額が動く前に税務署や公式情報で確認してください。
開業までの流れに、安全管理を組み込む
最後に、これから始める人向けに、届出から運行開始までの流れに安全管理を並べておきます。順番を知っておくと、手戻りが減ります。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 使う軽バン(車検証の用途が「貨物」の車)を用意する |
| 2 | 運輸支局へ「貨物軽自動車運送事業経営届出書」などを提出。このとき安全管理者の選任も必要 |
| 3 | 選任する人(個人事業主なら自分)が、安全管理者講習を受講しておく |
| 4 | 軽自動車検査協会で黒ナンバーの交付を受ける |
| 5 | 任意保険を事業用に切り替える(手続きと保険料) |
| 6 | 運行開始。初日から業務記録を作成・保存する |
車両の準備(2の前段)と講習の受講(3)は、届出より前から動けます。車探し・書類・講習を並行で進めておくと、開業までがいちばん短くなります。車をこれから用意する人は、黒ナンバー登録の代行を車両側でセットにできるかも、あわせて確認しておくと二度手間になりません。
著者
中村 篤彦(なかむら あつひこ)
株式会社極 代表取締役/GOKUリース運営
車の用意から相談したい方へ
黒ナンバー開業で、車をどう用意するか迷っている方は、軽バンの自社リースという選択肢もあります。費用・プラン・対応エリアはサービスページに載せています。
- LINEで相談する(GOKUリース公式LINE)
- 電話で相談する(050-3623-5143)
最終更新日:2026年7月
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