軽貨物ドライバーの手取りが残らない理由は、単価ではなく時間にある

黒ナンバー基礎

日給1万9,000円、勤務時間は8:00〜20:00。そのまま割れば、時給は約1,583円だ。ただ、この求人票には「業務量により早めに終了する日もあります」という注記もある。8:00〜20:00の12時間がまるごと働く時間なのか、それとも短くなる日もあるのかで、この案件は日によって時給が変わることがわかる。

すでに走っていて、思ったより手元に残らない人に向けて書いています。これから軽貨物をはじめたいと思っている人も参考にしていただけると思います。


日給1万9,000円を12時間で割ると約1,583円。ただし、労働時間が12時間なのかどうかがわからない

冒頭の求人票は、求人ボックスに載っていた兵庫県神戸市の案件だ。原文には「【勤務時間】8:00〜20:00(目安)※業務量により早めに終了する日もあります」「日給1万9,000円~2万円」とある。

そのまま計算すれば、時給は19,000円 ÷ 12時間 = 約1,583円になる。

ただ、この求人票には「業務量により早めに終了する日もあります」という注記もある。8:00〜20:00の12時間がまるごと働く時間なのか、それとも短くなる日もあるのかで、この案件は日によって時給が変わることがわかる。

こうした「時刻だけ」の求人は、当社が調べた関西4府県の業務委託求人186件のうち55.4%を占める。もっとも多い書き方だ。


求人票には拘束時間が書かれていない

調査の断りから書く。取得は2026年8月。大阪・兵庫・京都・奈良の軽貨物ドライバー(業務委託)の求人を、1件ずつひらいてかぞえた。内訳は求人ボックスが173件、ドライバー求人専門のドラEVERが13件で、合わせて186件。

Indeed(インディード)は取得できなかった。バイトル、スタンバイ、エンゲージも技術的に取得できず、数に入っていない。求人ボックスは、ならび順が「採用企業等が支払う対価」の影響を受けると同サイトが明記しているため、無作為抽出ではない。

この数字は「関西の求人全体の何%」ではなく、検索結果の上位から186件をひらいてかぞえた結果として読んでほしい。

その186件で、時間がどう書かれているかをかぞえた。

時間の書き方 件数 割合
「拘束」と明記 0件 0.0%
「実働」と明記 10件 5.4%
時刻だけ(8:00〜21:00 のような書き方) 103件 55.4%
時間の記載なし 73件 39.2%

「拘束」と書いた求人は1件もなかった。実働と書いた10件をのぞく176件(94.6%)は、実働とも拘束とも書いていない。時刻だけでは、その帯のどこまでが仕事の時間なのかは読み取れない。

時間の記載がない73件のなかみもかぞえた。勤務時間の欄そのものが空欄なのが26件。「勤務時間は指定しない」が14件、「原則自由」が11件、「業務委託のため規定なし」が4件。残る18件のうち13件は、勤務日だけを書いたものかシフト制とだけ書いたもの。あとの5件は「業務委託のため自由」「24時間365日、すべてあなたの自由です」といった書き方や、給与の文言が勤務時間の欄に入っているものだった。

このうち「勤務時間は指定しない」は求人ボックスの定型文だ。載せた会社が実際に時間をきめていないのか、入力が省かれただけなのかは、求人票からはわからない。

時給の分母にあたる時間がこの状態なので、つぎに分子の側、報酬の書き方をかぞえた。

報酬の書き方 件数 割合
月額(月給・月収・年収)の表記あり 167件 89.8%
1日あたりの表記あり 50件 26.9%
1個・1件あたりの単価あり 10件 5.4%
時給の表記あり 5件 2.7%

1件の求人に複数の書き方が併記されていることがあるため、合計は186件を超える。月額だけで、日単価も個単価も時給も書いていない求人が129件(69.4%)だった。

その月額が売上なのか手取りなのかも、ほとんどの求人票からはわからない。経費の負担にふれていたのは18件(9.7%)で、「ガソリン代等は自己負担」とまで書いていたのは2件。残る168件(90.3%)は、載せている月額が経費を引く前か後かを書いていない。

求人票の書き方の内訳

186件のうち、時刻の帯を数値で読みとれたのは65件だった。時刻だけの103件のうち57件と、実働を書いた10件のうち8件を合わせた数だ。帯の長さは中央値12.0時間、最大14.0時間。10時間以上が54件、12時間以上が36件を占める。

「実働8時間」と書きながら、11.5時間から12.0時間の帯をだしている求人も3件あった。3件のうち1件は「休憩2h」と添えてあるが、残る2時間が何にあたるのかは書かれていない。あとの2件は差の説明がない。

勤務時間の欄に「原則自由」とだけ書きながら本文には時刻が入っている求人もあり、分類には揺れがある。帯の長さは、時刻が読みとれた65件だけをかぞえたものだ。

186件をかぞえてわかったのは、多くの求人で分子は月額しかなく、分母も時刻の帯しかない、ということだ。時給をだすには「いくらを」と「何時間で」の2つが要る。その両方がそろった求人票はほとんどなく、読みくらべるだけでは時給に直せない。


拘束時間は1日13時間以内と国がさだめている

拘束時間とは、仕事のために拘束されている時間の全体を指す。手をうごかしている時間だけをかぞえることばではない。

この拘束時間に、国は上限をさだめている。国土交通省のリーフレット「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」によると、令和6年の法令改正を受けて、令和7年4月から対策が強化された。そのなかの「運転者の勤務時間の遵守」につぎの数値がある。表には改善基準告示への案内が添えられている。

項目 内容
1日の拘束時間 13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安)
1か月・1年の拘束時間 1か月:284時間以内、1年:3,300時間以内
1日の休息期間 継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
運転時間 2日平均1日:9時間以内、2週平均1週:44時間以内
連続運転時間 4時間以内

リーフレットには注記もある。「一人で事業を行っている場合は、自ら上記時間の範囲において勤務時間を設定し、遵守する必要があります」。一人で走っている場合、この線をまもる役目も自分にある。

実際はどうか。国土交通省が令和6年6月、貨物軽自動車運送業者を対象におこなった調査がある(第4回 貨物軽自動車運送事業適正化協議会の資料)。回答は7,523者で、84.7%が車両1台の事業者だった。1日あたりの平均業務従事時間は全体で8.8時間。車両1台にかぎると8.6時間になる(平均の算出は有効回答7,517者)。

分布もでている。

1日の業務従事時間 割合
4時間以下 10.8%
5〜8時間 38.6%
9時間 4.4%
10時間 15.2%
11時間 3.3%
12時間 16.8%
13時間 5.2%
14時間 2.9%
15時間以上 2.8%

平均の8.8時間だけでは見えないことが、この分布にある。5〜8時間が38.6%でもっとも多い一方、12時間も16.8%ある。12時間以上はあわせて27.7%になる。

この調査には、ことわっておくことが2つある。回答は適正化協議会の構成員等を通じて配られたもので、無作為抽出ではない。

もう1つ、調査がきいているのは「業務従事時間」だ。リーフレットの「拘束時間」とおなじものを指すのかは、資料に定義がない。2つの数字を等号ではむすべない。

そこで、自分の1日をあてる線は13時間の1本にする。定義がはっきりしていて、拘束時間というおなじものさしで測れるのはこれだけだからだ。

8.8時間のほうは、くらべる線ではなく背景として置く。業界全体の真ん中がこのあたりにある、というだけのはなしだ。

前の節でだした求人票の帯は、中央値が12.0時間だった。13時間を超えていたのは、読みとれた65件のうち1件(14.0時間)だけだ。ちょうど13時間が18件あり、残りは13時間の内側におさまっている。


自分の時給をだす。積み込みから帰庫まででいくらか

ここからは、自分の数字をだす。先に、どこからどこまでをかぞえるかをきめておく。この記事では、営業所や倉庫に着いた時刻から、帰庫して報告と精算を終えた時刻までを拘束時間としてかぞえる。

定義から入るのは、定義がちがえばおなじ日給でも時給がかわるからだ。割る時間のとり方で数字がうごくことは、冒頭の求人票で見たとおり。かぞえ方を1つにきめておけば、いまの現場も、つぎに面談へいく現場も、おなじものさしの上でくらべられる。

着いた時刻からかぞえるのは、荷物を運んでいなくても、その現場にいないと生まれない時間があるからだ。入れ忘れやすいのはつぎの4つ。

  1. 積み込みの待ち(センターに着いてから、自分の荷物がでてくるまで)
  2. 仕分けと積み込みそのもの
  3. 時間指定の合間(配りおえたが、つぎの指定の時間帯までうごけない時間)
  4. 帰庫後の返品処理・報告・精算

着いた時刻と終えた時刻の2つでかぞえれば、この4つはすべて入る。

計算は4段階。

  1. その日の売上をだす。個建てなら完了した個数×単価、日建てなら日額
  2. 営業所に着いた時刻と、帰庫して報告・精算を終えた時刻を書く
  3. その差を時間に直す
  4. 売上を、その時間で割る

家から営業所までの往復を、この時間に入れるかどうかは、どちらでもよい。ただ、通勤の時間は現場を変えればかわる。入れた時給と入れない時給の両方をだしておくと、遠い現場と近い現場をならべるときに使える。

経費はここでは引かない。時間の使われ方と費用の重さを一度に見ると、どちらが効いているのかわからなくなるからだ。まず時間の分母をそろえる。経費をふくめた手取りのはなしは、黒ナンバーの費用をまとめた記事にある。

1週間の記録シート

上の図の月の行にある数字は、冒頭の求人票をあてはめた記入例だ。

記録は紙でも、携帯のメモでもいい。要るのは時刻2つと売上だけだ。

下の枠はそのままえらんでコピーできる。携帯のメモ帳にはって、毎日そこへ書き足していけばいい。

1週間の記録
着=営業所に着いた時刻/終=帰庫して精算を終えた時刻

月 売上    着  :  終  :
火 売上    着  :  終  :
水 売上    着  :  終  :
木 売上    着  :  終  :
金 売上    着  :  終  :
土 売上    着  :  終  :
日 売上    着  :  終  :

拘束=終−着
時給=売上÷拘束

1週間の平均
売上の合計    拘束の合計    平均時給=売上の合計÷拘束の合計

1日ぶんでは、その数字がたまたまの日なのか、いつもどおりなのかがわからない。1週間つけると平均がでる。曜日で荷物量がかわる現場なら、その差も表にでる。くらべるのは、そこからでいい。


拘束時間を押し上げているのは、配達していない時間

前の節の4つのうち、1日の終わりそのものをうごかすのは時間指定の合間だ。宅配の指定は、午前・12-14時・14-16時・16-18時・18-20時・19-21時のように帯でならぶ。区切り方は配送会社によってちがう。この帯がつづく現場では、手元の荷物を配りおえても、つぎの帯が来るまでうごけない。

最後の帯に1個でも残っていれば、その帯がおわる時刻までが自分の1日になる。荷物が残っているかぎり、配る個数をふやしても、おわる時刻は前に来ない。

現場の書き込みにも、このかたちがそのままでてくる。以下はいずれもQ&Aサイトや個人の発信に書き込まれた自己申告で、裏づけはとれていない。これ以降に引く現場の声も、すべておなじ性質のものだ。前の節までの公的データや実測とおなじあつかいはできないが、時間の内訳が語られている数少ない材料なので、そのまま引く。

求人票の「実働◯時間」を、1日の長さのことだと読むと、こうした書き込みとかみあわなくなる。現役のドライバーからは「荷物待ち、積み込み待ち、移動、全部ひっくるめて仕事」という指摘がでている。

不在の再訪もおなじ側の時間だ。個建てでは、配達が完了してはじめて売上が立つ。届かなかった荷物を持っておなじ場所へもう一度いくと、売上はかわらないまま、時間だけがふえる。

1日の時間の内訳

図は1日の全体をならべたもので、前の節の4つと再訪のほかに、配達している時間も入っている。

自分の1日のどこが重いのかは、前の節の記録シートの時刻2つだけではわからない。あの2つででるのは分母の長さまでだ。余裕があれば、あいだの内訳をひとつだけ書き足しておく。今日いちばん長かった空きは何だったか。それだけで、押し上げている正体の見当がつく。その空きに値段がつくかどうかは、現場によってあつかいがわかれる。


待つ時間にいくらつくのかは、ほとんどの会社が公表していない

ことばをそろえておく。ここまでの個建ては、配達1個ごとに単価がきまるかたち。日建ては、1日いくらできまるかたち。もうひとつ、時間で車ごと貸し切る時間制がある。おなじ軽バン1台の仕事でも、このかたちのちがいで待つ時間のあつかいがかわる。

待つことと積むことに円単位で値がついている例は、赤帽にある。大阪の公式の運賃表に、待機時間料金という項目がある。

待ち時間が30分を超えると、以降30分ごとに1,100円。積み込みと積み降ろしの作業も、30分を超えると以降15分ごとに550円がくわわる。時間制なら2時間の貸切・20kmまでで6,050円、超過は30分ごとに1,375円。ただし、この表の金額は荷主が払う運賃だ。ドライバーの手取りを示す数字ではない。

Amazon Flexは、ブロックという時間の枠で仕事を受ける。その公式サイトに「稼働目安時間は、配達に要する実際の稼働時間と必ずしも一致するものではありません」という注釈がある。公表されているのは上限で、4時間ほどで最大9,600円といった、想定条件つきの数字になる。

出前館は、公式の募集ページに「シフトなどの時間的拘束はなく、働く時間や場所を自由に選ぶことができます」とある。報酬は件数できまる。基本報酬は1件400円、そこに配達距離・曜日・時間帯・天候でかわるブーストがかかるが、倍率はおなじ募集ページにはでていない。

一方、宅配の下請け、企業配、ネットスーパー、スポット便では、各社の募集ページと料金ページを見たかぎり、待つ時間のあつかいを公表した資料が見つからない。単価も、その範囲にはでていない。金額と引用は、いずれも2026年8月に各社の公式サイトでたしかめた。赤帽の運賃は税込表示。

くらべるための公的な基準もない。国土交通省が「標準的な運賃」を告示しているのは一般貨物自動車運送事業で、軽バンが属する貨物軽自動車運送事業について書いた告示は、同省のページに見つからない。目のまえの単価が高いのか安いのか、あてるものさしが公にはないということだ。

待つ時間にいくらつくのかを表にだしているのは、一部の会社だけになる。だから、面談できくしかない。


現場を変えられるかどうかに、車の持ち方が効いてくる

時給をだして、いまの現場が低いとわかったとする。つぎは現場を変える番だが、その前に車の持ち方が効いてくる。

会社の車に乗っている場合に起きることは4つある。リース代が毎月の報酬から引かれる。契約期間が残っているあいだはうごきにくい。やめれば車がなくなるので、つぎの現場にいく手段もなくなる。払いおわっても、車は自分のものにならない。

実測186件では、車両の提供をうたう求人が140件(75.3%)、持ち込み可と書いてあるのは79件(42.5%)だった。ただし、リース料の実額まで書いているのは13件(7.0%)しかない。金額は月25,000〜45,000円におさまるが、なかみがそろっていない。

車両のみで24,200円、車検代と任意保険代をふくめると42,680円になる例。リース30,000円に任意保険29,000円が別立てで乗る例。整備・車検・部品代・代車まで込みで45,000円の例。車両リース35,000円に事務管理料が月1万円くわわる例。おなじ4万円台でも入っているものがちがうので、表示額だけではくらべられない。

車を自分で持っている側のはなしも引いておく(どちらも自己申告)。「企業配送8時間・土日祝休みの車両持ち込みで月35〜40万が安定」という発言。「売上77万・車両持ち込み・ロイヤリティ10%で手取り693,000円(保険料などは別途自己負担)」という報告。

持ち方は4つにわかれる。

持ち方 使える人 現場を変えられるか 払い終わったあと
委託会社のリース その会社で働く人 契約期間中はうごきにくい 自分の物にならない
一般のカーリース 信販の審査を通る人 変えられる 契約による
中古購入 まとまった資金を用意できる人 変えられる 自分の物
信販を通さない自社リース 信販の審査が通らない人 変えられる 契約による

※ 自社リースは信販会社を通さないため、信用情報に記録があっても契約できることがある。ただし会社が独自に審査を設けていることもあり、審査がないとはかぎらない。

どれがいいというはなしではない。ただ、事実としてひとつ書いておく。信用情報に問題がなければ、一般のカーリースや中古購入のほうが月々の負担は小さい。委託ドライバー30名をかかえる事業者も「3か月続けられそうなら中古を購入した方が良い」といっている(自己申告)。

一方で、会社の車があう時期もある。はじめたばかりで、つづくかどうか自分でもまだわからないうち。まとまった資金がないうち。仕事が途切れたときに車を返せること自体がまもりになる場合。買った車は、仕事がなくなっても手元に残りつづける。

求人票をならべる前に、自分がこの4つのどれにあてはまるかを先にたしかめておきたい。


現場を変える前にたしかめる5つ

たしかめることは5つある。そのまま面談に持っていけるかたちで置いておく。

① その現場に荷物があるか

都内を走る現役ドライバーの発言がある(自己申告)。「稼ぐのに一番重要なのは、荷物があるか、それを捌ける能力があるか。経費や税金より、まず稼げる土台があるところに入る」。

きき方は具体でいい。1日の平均個数と、コースあたりの個数。それが直近3か月でふえているのか、へっているのか。

② 単価のかたち

個建てか、日建てか、時間制か。個建てなら1個いくらか。実測した186件のうち、1個あたりの単価が求人票に書いてあったのは10件(5.4%)だけだった。ここは面談のほかに知る場所がない。

③ 時間のあつかい

積み込みの待ちと、時間指定の合間は報酬に入るのか。待機に値段がつく契約か。出庫から帰庫まで、実際は何時から何時か。前の節で見たとおり、答えは会社ごとにちがう。

④ 引かれるもの

ロイヤリティや手数料の率または額。車両代、任意保険、事務手数料、その他の名目。186件でロイヤリティを書いていなかったのは179件(96.2%)ある。書いていないことと、ないことは別だ。

提示された金額が引かれる前なのか後なのかも、その場でかならずたしかめる。

⑤ 繁閑

宅配は12月がいちばん多い。ヤマトホールディングスの月次実績(2025年度)で、12月の取扱個数は2026年2月の約1.71倍、年平均の約1.39倍だった。ただし12月は31日、2月は28日で、日数が約1.107倍ちがう。1日あたりに直すと、12月は2月の約1.54倍になる。1社の実績なので業界全体の数字そのままではないが、山と谷の幅の目安にはなる。

引っ越しは3月が突出する。国土交通省が令和6年1月の報道発表で「3月の引越件数は通常月の約2倍」と公表している。きき方はひとつ。閑散期の月は、個数がどれくらい下がるのか。

きかないまま入った人のはなしも、書き込みとして残っている(自己申告)。面談したその日にサインして、後から条件がちがうとわかった人がいる。契約書を交わさないまま、はじめた人もいた。年契約だと説明されないまま車を借り、やめるときに残りの期間ぶんを求められた例もある。

下の5行はそのままコピーして、面談に持っていける。

□ 1日の平均個数/コースあたりの個数/直近3か月の増減
□ 単価のかたち(個建て・日建て・時間制)。個建てなら1個いくら
□ 積み込みの待ちと時間指定の合間は報酬に入るか。出庫と帰庫の実際の時刻
□ 引かれるもの(手数料の率/車両代/任意保険/事務手数料/その他)。提示額は引かれる前か後か
□ 閑散期の月は個数がどれくらい下がるか

5つの答えがそろえば、いまの現場とつぎの現場を、おなじ条件で見くらべられる。くらべたあとにどうするかは、そこではじめてきめられる。


よくある質問

Q. 日建てと個建てはどちらが有利ですか

かたちだけではきまらない。個建ては配ったぶんだけ伸びる代わりに、不在がつづけばとまる。日建ては1日の上限がきまる代わりに、閑散期もおなじ額が入る。わかれ目は、自分の現場の個数が安定しているかどうかにある。走っている人の発言にもおなじ趣旨のものが複数ある(自己申告)。

Q. 拘束時間が長い現場は法令違反ですか

国が示している線はある。1日の拘束時間は13時間以内が原則で、長くても15時間まで、14時間を超えるのは週2回までが目安。国土交通省のリーフレットに載っている数値だ。

ただし一人で事業を行っている場合は、勤務時間を自らさだめて自らまもる必要がある、とおなじリーフレットに書かれている。長いこと自体を誰かがとりしまってくれるかたちにはなっていない。線と自分の帯をくらべて、まもる側に立つのは自分だ。

Q. 現場を変えるとき、今の会社にいつ言えばいいですか

先に契約書をひらく。解約までの予告期間がさだめられていれば、それにしたがう。さだめが見つからない、あるいは契約書を交わしていないなら、たしかめるのはそこからになる。

何か月前が普通かという一般の数字は、この記事であたった公的資料と各社の公開ページにはでていない。起点は自分の契約書だけだ。


今日やること

今日やるのは1つでいい。営業所に着いた時刻と、帰庫して報告と精算を終えた時刻をメモする。書く場所は、携帯のメモでも、計算の節に置いた枠でもいい。

経費の計算も、ほかの会社をさがすのも、今日はやらなくていい。すべてやろうとするとつづかない。時刻を2つ書くだけなら、明日もつづく。

1週間ぶんたまれば、自分の時給がでる。そこではじめて、いまの現場をほかの現場とおなじものさしの上に置ける。くらべるのは、数字が手元にそろってからだ。


出典

出典をたしかめたのは、いずれも2026年8月。制度や料金はあらたまることがあるので、契約のまえに各社のあたらしい資料で見なおしてほしい。


著者

中村 篤彦(なかむら あつひこ)/株式会社極 代表取締役


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